潜在意識は、よく氷山に例えられます。
多くの人が知っている有名な例えですが、
潜在意識は氷山に例えていいのでしょうか?
この記事では、急速に進歩している
遺伝学(エピジェネティクス)も参考に、
考えていきます。
お読みいただければ、
潜在意識の概念がガラッと
変わることでしょう。
潜在意識は、水面下の氷山なのか?
結論からお伝えすると
気づきの呼吸では、
潜在意識の領域は、
顕在意識の領域より狭い
と考えています。
よくある氷山の例えはこうです。
でも気づきの呼吸ではこう考えます。
「定説」と言ってもいいほど有名な氷山の例えに、
異論を唱えるのは、ちょっと勇気が必要ですが、
話を続けていこうと思います。
氷山の例えとは?
知らない方はいらっしゃらないと思いますが、
話を進める前に氷山の例えを確認しましょう。
意識には、気づくことができる顕在意識と
気づくことができない潜在意識がある。この2つの意識を、氷山に例えると、
顕在意識は、海面に浮かぶ氷山の一角である。
潜在意識は、海面の下に隠れている残りの部分である。割合は、顕在意識は10%、潜在意識は90%。
私たちの意識のほとんどは、潜在意識が占めている。
というものですね。
では氷山の例えが潜在意識の説明として、
いまいちである理由をお話していきましょう。
潜在意識を氷山に例えてはいけない5つの理由
まずは遺伝子学の次の科学エピジェネティクスを
参考にひとつめの理由をお話します。
続いて気づきの呼吸の事例や
私自身の経験から、理由を4つあげていきます。
潜在意識は科学的な検証がむずかしい世界です。
ですから、思い込みを完全に排除できません。
その点を踏まえて、「頭の体操」という感じで、
お気軽にお読みいただけましたら幸いです。
理由1:潜在意識は、遺伝情報だから
気づきの呼吸では、潜在意識を
身体に刻まれた非言語情報と定義します。
具体的には、三つ子の魂と先祖の記憶(DNA情報)です。
最近この定義を裏付ける
遺伝子学の次の科学エピジェネティクスが登場しました。
エピジェネティクスによると、
あなたがどのような人生を歩んだかは、
遺伝子に刻まれ子孫に影響するそうです。
視点を変えると、あなたは、
ご先祖様の記憶が刻まれた遺伝子をもつ身体で、
人生を歩んできたということになります。
両親や祖父母がやんちゃな人生を歩んでいたら、
あなたの人生はその影響下にあるのです。
あ〜、ちょっと絶望感を感じますね。
でも、心配は無用です。
エピジェネティクスによると、
遺伝子に刻まれた先祖の情報は、
変えることができるのです。
しかも、その手段のひとつが、
呼吸だというのです。
気づきの呼吸が定義する潜在意識と、
エピジェネティクスが扱う遺伝情報は、
重なる部分が多いのです。
潜在意識はあやふやで
とらえどころのない
抽象的な概念でした。
だから、何かに例えて
説明するしかなかったのです。
しかし、潜在意識が遺伝情報であるなら、
リアルな実体のあるものになります。
なにせ血の通った身体の一部なのですから。
扱い方も変え方も具体的になります。
遺伝情報は世代を超えて引き継がれてきた
身体に刻まれている情報です。
潜在意識が遺伝情報であれば、
潜在意識は身体の一部ということになります。
そうであるなら、潜在意識は身体と
隣り合わせに位置します。
密度の濃さは
こうなると思うのです。
遺伝子(DNA)の研究は、日進月歩です。
「潜在意識は顕在意識より膨大」という考えは、
ガラッと変わっていくかもしれません。
氷山の例えも過去のものになるかもしれません。
エピジェネティクス については、
こちらの記事でご説明してますので、
ご興味のある方は、クリックして下さいね。
研究者による動画(TED/字幕付き)もリンクしてます。
では、さらにお話を続けていきましょう。
これからお話しする4つの理由は、
実践者の事例と私の経験に基づくものになります。
理由2:科学的な検証がされていないから
インターネット検索で調べた範囲ですが、
潜在意識を氷山に例えたのはフロイトのようです。
私が調べた範囲では、
科学的な検証を見つけることが
できませんでした。
フロイトなどの心理学の先人が、
潜在意識に気づいたことは、すごい!
心底そう思います。
しかし、偉大な学者だからと言って、
氷山の例えが的確だとは限らないのです。
私たちは権威者の言葉を鵜呑みにしがちです。
フロイトの言葉だから正しいと思い込み、
例えが一人歩きしているのかもしれません。
フロイトは1856年の生まれです。
今から150年以上前で、
日本は明治時代でした。
この間の科学の進歩を考えると、
偉大なフロイトの言葉とはいえ、
検証してみる価値はあると思うのです。
フロイトの功績に敬意を表しつつも、
すべてを鵜呑みにするのではなく、
一度、頭をリセットして、
再考してもいいのではないでしょうか?
膨大で気づかないところで、
人生をコントロールしている潜在意識に
私たちは漠然とした不安を抱きます。
不安が駆り立てられると、
権威者の言葉を盲信する傾向に
拍車がかかります。
だから、多くの人が氷山の例えを、
盲目的に信じているだけかもしれないのです。
でも、潜在意識って本当に怖いのでしょうか?
真っ暗闇の部屋に例えて考えていきましょう。
理由3:潜在意識は膨大ではないから
あなたは、
今真っ暗闇の空間にいます。
漆黒の闇が、あなたを
包み込んでいると想像してくだい。
回りを見渡してみましょう。
空間の広さって
どのくらいに感じられますか?
果てしなく無限に続くように
思えるのではないでしょうか?
では、次にその空間の中を歩いてください。
真っ暗闇ですから注意して手探りで進みましょう。
あっ!つまづいて転んでしまいました。
頭を何かにぶつけて血が出ているようです。
引きづつき、真っ暗闇の中を進んでください。
また何かにぶつかりました。
今度は、どうしても、
それ以上進むことができません。
でもなぜかはわかりません。
そんな時、あなたはどう感じるでしょう。
思う通りに動くことができない。
暗闇の中で身動きが取れない。
不安でいっぱいになりませんか?
状況がわからず、どんどんマイナス思考になり、
不安は恐怖に変わっていくのではないでしょうか。
そんな時、光が射しました。
空間の状況が見えてきました。
何と! そこは六畳間だったんです。
椅子が転がっています。
さっきつまづいた原因は、
これだったのです。
前に進めなかったのも当然です。
そこに壁があるからです。
なぜ転んでケガをしたのか?
壁ドン(?)していたのか?
光が刺し、理由がわかれば、
もう恐れるものはなくなります。
ホッとします。安心します。
さっきまでおびえていた自分が
滑稽で、笑えてきます。
真っ暗闇だと、
ただの六畳間が、
無限の空間になってしまう!
潜在意識も同じなのではないでしょうか?
状況がわからないから、
意識の90%を占める膨大な領域だと
思い込んでいるだけなのではないでしょうか?
自分の知らないところで、
人生を操られているという
漠然とした不安を、氷山に重ね合わせ
氷山の例えを信じている
だけなのではないでしょうか?
私はその可能性を否定できないと思うのです。
理由4:潜在意識は、本能ととなり合わせだから
ここで冒頭でご紹介した図を、
もう一度ご覧いただきたく思います。
身体、潜在意識、顕在意識、
そして、その先にある意識。
その先にある意識は、魂、宇宙意識、
ハイヤーセルフなどと言ってもいいかもしれません。
ここでは、とりあえず魂意識と呼ぶことにしましょう。
私は身体と潜在意識と顕在意識は、
死ぬと肉体と共に消滅すると考えています。
潜在意識が遺伝情報であれば、当然そうなります。
潜在意識は身体と顕在意識の両方にまたがる領域で、
本能と分かちがたく絡み合っていると考えています。
本能は生命を維持するために大切です。
本能のおかげで、自分で心臓を動かしたり、
胃液の量を調整する必要もないのですから。
だから、簡単に変えることはできませんし、
変わってもらっては困るのです。
命に関わりますからね。
ただ、この本能の「頑固さ」が
問題になることがあります。
それが潜在意識を
変えようとする時です。
命を守る本能の「頑固さ」は、揺るぎません。
そんな本能に、潜在意識は、
強く、強く引っ張られているのです。
潜在意識を簡単に
変えることができないのは、
本能の影響を強く受けている
からだと考えられます。
そして、身体と一体である
本能と潜在意識が絡み合っているとするなら、
潜在意識は身体の次に密度が濃い
と考えてもいいと思うのです。
身体、本能、潜在意識、
顕在意識、魂意識の順であるとすると、
意識の例えとして、
氷山はやっぱり違うということになるのです。
理由5:潜在意識が膨大だと、感情を扱えないから
最後の理由は、
ちょっとしたエピソードになります。
潜在意識は、膨大ではない。
ここからここまでという
区切りのある有限の領域だ。
…ということを、私は時たま話すことがあります。
まあ、大体の場合は一笑に付されます。
しかし、今まで二人だけ、
「池田さん、そうだよ」という方がいました。
面白いことに、二人とも俳優だったのです。
一人の方とは、
じっくりと話すことができました。
その時の話です。
俳優って、感情を表現するプロなんだよ。
でね、「潜在意識が無限である」という前提だと、
感情を扱うことができない」んだよ。
というのが、彼の話でした。
「『潜在意識が無限である』いう前提だと、
感情を扱うことができない」
えっ! それってどういうこと?
説明してもらいましたが、
芝居の素人の私には、
チンプンカンプンで、
何度、聞いても理解
できずじまいでした。
でも、私がたどり着いた潜在意識と、
俳優が語る潜在意識に共通点があったことは、
とても面白く貴重な経験となりました。
誰も理解してくれなくても、
少なくとも、世界に二人、
私に同意してくれた人がいるのです。
そんなことも、心の支えになって、
気づきの呼吸の今があったりするのです。
まとめ
いかがでしたか?
潜在意識の常識をくつがえす話で、
「うっそ〜」と思われたかもしれません。
でも、近い将来、
遺伝学の次の科学エピジェネティクスの登場で、
「潜在意識とは遺伝情報だ」と
なる日が来るかもしれないのです。
そうなった時、
潜在意識の概念は
ガラッと変わるでしょう。
私の師匠ヘンドリックス博士は、
1995年の時点でこう書いています。
呼吸は体の全ての細胞に影響を及ぼします。また、細胞そのものが過去の出来事を記憶しているということを裏付ける証拠もあります。十分に深く呼吸を行うことで細胞の記憶形成が刺激され、初期のトラウマを解決する助けとなる可能性もあるのです。
そういった経験は、科学的に証明することが困難な領域ではありますが、私自身は臨床の場で何度も実際に目撃してきました。
1990年代には、
科学的に証明できなかったことが、
エピジェネティクスの登場で、
証明されることでしょう。
そして、遺伝情報を変える
手段のひとつとして、
呼吸が注目されているのです。
そのうち、気づきの呼吸が、
科学者の目に止まるかもしれません。
気づきの呼吸の実践者が、
注目される日が来るかもしれません。
そんなワクワク感とともに、
あなたも、今から、気づきの呼吸で、
潜在意識を、いえ!遺伝情報を変えてみませんか?