「特に悩みはないけれど、
面白そうだから」
Aさんが気づきの呼吸に
いらした動機です。
でも、悩みがないというのは
多くの場合、思い込みにすぎません。
ちゃんと呼吸をすると
未解決のまま
心の奥底に
押し込めていた問題が浮上してきます。
ちょっとした生きづらさの原因です。
Aさんの場合は、
10代で亡くなった
妹さんへの思いが浮上してきました。
今日はそんなお話です。
悲しみに向き合う心の準備を整える
気づきの呼吸では、
まず、胎児のように
呼吸をしていただきます。
骨盤を動かしながら行うので、
骨盤呼吸と言います。
骨盤呼吸の練習をすると
深くて自然な呼吸が
できるようになります。
ここで勘の良いあなたなら
こう思ったことでしょう。
「えっ、やっぱり、
自然に呼吸ができてないんだ」って。
そうなんです。実は私たちは、
自然な呼吸ができていないのです。
ある本能的な呼吸反応
のせいで、赤ちゃんの時にしていた
自然な呼吸ができなくなっているのです。
呼吸を浅くする呼吸反応については、
毎月2回体験セミナーでお話しています。
(次回は、2月2日です)
または、
私の本『日常の怒りをいつまでも
引きずってしまう人のための本』でも
解説しています。
自然な呼吸を取り戻す
必要があるってことに、
ちょっとびっくりしますけど、
きちんと呼吸ができるように
なるには、練習が必要なんです。
胎児の動きを参考に、
赤ちゃんを観察して見えてきた
呼吸の仕方。それを骨盤呼吸と言います。
骨盤呼吸をして、
自然な呼吸を取り戻すと
体調がよくなります。
体調がよければ、
気持ちが安定します。
心身の状態が整うと、
今まで心の奥底に押し込めて
先送りにしていた問題に向き合う
心の準備ができるのです。
人には向上心、成長欲がありますから、
準備ができると、がんばらなくても
自ずと、問題は解決する方向に動き出します。
胎児のように呼吸をしたら…
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
Aさんは、
胎児のように呼吸をします。
骨盤呼吸をします。
あれ、Aさんの瞳から、
ボロボロと大粒の涙が
あふれ始めました。
何が起きたのでしょう?
ちょっと、
Aさんの涙が
一段落するまで、
私は、呼吸しながら
待つことにします。
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
深い、深い悲しみは…
あっ、Aさんがお話しを始めました。
深い呼吸をしながら、
ゆっくりと、ゆっくりと…
Aさんのお話を
まとめるとこうです。
Aさんには
年の離れた妹がいました。
両親は離婚しました。
母親は家計を支えるために、
仕事を掛け持ち。朝早く家を出て、
夜遅くまで働いてました。
ですから、A子さんは 母親がわり。
小さかった妹は、
「お姉ちゃん、お姉ちゃん」と
甘えてきます。かわいい…。
妹を守らなきゃ…。
そんな思いでいました。
A子さんは、
高校を卒業し働き始めます。
母親を助けるために、
家にお金を入れます。
それだけではなく、
少ないお給料の中から、
貯金もしていました。
妹を大学に行かせたかったのです。
父親にも母親にも
甘えられなかったAさん。
妹のために生きることが
心の支えでした。
ところが、ある日、
妹は亡くなってしまった。
突然の不慮の事故でした。
その時の悲しみを
A子さんは受け止める
ことが
できませんでした。
A子さん、二十歳そこそこ
だったんですから…
A子さんは、無意識のうちに、
悲しみを心の奥底に押し込めました。
その時、自分を守るために、
A子さんができた精一杯のことでした。
深い呼吸で、悲しみを癒す
胎児のように呼吸をすると、
心の奥底に押し込めていた
悲しみが浮上してきます。
受け止めきれないから
心の奥底に押し込めて
ないことにしていた
深い、深い悲しみ。
「そんな深い悲しみが、
浮上してきて大丈夫なのかな?」
あなたは、
そう思われたかもしれませんね。
でも、心配は無用です。
呼吸があなたを支えてくれる
呼吸には悲しみを癒す
パワーがあるからです。
心の痛みを和らげる
作用があるのです。
例えば、出産。
出産の時って、
「呼吸、呼吸」って言われますよね。
呼吸が陣痛を和らげるからです。
呼吸は陣痛だけでなく、
歯科治療の痛みにも役立ちます。
実際に私は、骨盤呼吸をして
歯科治療を受けたことがあります。
麻酔なしで、歯医者さんが、
ビクビクしてました(笑)
でも、ちゃんと治療は終わった。
麻酔の気持ち悪さを感じることもなく…
呼吸は身体の痛みを
やわらげてくれます。
私や、気づきの呼吸の実践者の皆さんの
経験に基づいたことですが、
呼吸は、身体だけでなく、心の痛みも
和らげてくれる作用があります。
呼吸は深い悲しみを癒してくれます。
もう一歩踏み込んで言うと、
私は、気づきの呼吸を実践しなければ、
深い悲しみには向き合えないと思っています。
呼吸の癒し効果があったから、
A子さんは、30年以上、
目を背けきた深い悲しみと
向き合うことができたのです。
心の奥底に押し込めた
悲しみは、気づかないところで
人生の足かせになります。
本当の私が輝きを失います。
深い呼吸で、
悲しみに向き合わなければ、
A子さんは、妹の死に
縛られたままだったことでしょう。
どうして死んじゃったの?
A子さんは、深い呼吸をしながら、
感情の扱い方を練習しました。
日々の生活の中で、
ちょっとしたイライラや、
不安感などを丁寧に感じました。
マイナスの感情をプラスに変えることが、
だんだん上手になってきました。
A子さんの心の奥で、
少しづつ妹を失った悲しみと
向き合う準備が整い始めます。
深い呼吸のできる身体が整い、
感情の扱い方が上達すると、
本能や無意識は、ホッとして
力を抜くのでしょうか?
ちゃ〜〜んと、
その人が扱えるだけの悲しみを
心の奥底から取り出して、
差し出してくれます。
心のメカニズムって
見事としか言いようがありません。
悲しみ、大切な人がくれる最期のプレゼント
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
吸って〜、吐いて〜
そして、A子さんは、
お話をしてくださいました。
妹の死を知られたくなくて、
故郷から逃げてた。私だけ離れて、大学から離れて、
高校の友達にも会ってなくて。「知られたくない、
知られたくない」で生きてきた。妹の分も生きたらいいんだと思ったけど、
自分の心に残っている大きなことだと分かりました。
私は、悲しみって、
大切な人が残してくれる
最期のプレゼントだと思います。
悲しみにきちんと向き合い、
呼吸を活用して感じることができると
「感情のエコシステム」が稼働します。
(感情のエコシステムについては、
『日常の怒りをいつまでも
引きずってしまう人のための本』で解説)
すると、悲しみは、
愛のエネルギーに変わります。
愛のエネルギーが循環すると
人間関係がよりよくなっていきます。
感情の扱い方が広く知られていないので、
多くの場合、人は理性で悲しみを封じ込めます。
「妹の分も生きたらいいんだ」と。
でも、理性で心の奥底に押し込めた
悲しみは、見えないところで、
人生を狂わせます。
大切なことは、
大切な人が最期にくれた
悲しみに向き合うことです。
深い呼吸でサポートを受けながら
喪失体験を乗り越えることです。
すると、大切な人を失った
悲しみは、愛のエネルギーに変わります。
愛のエネルギーは、残された人の
人間関係をより豊かにしてくれるのです。
今悲しみの最中にいる方には
申し訳ない表現になるかもしれませんが、
大切な人の死を糧に、私たちは、
人生をより豊かにすることができるのです。
私は、それが、
先にこの世を去っていった
大切な人への一番のご供養なのでは
ないかと思っています。
まとめ
いかがでしたか?
今回この記事を書こうと思ったのは、
先日、死生学に関する仕事をされている方と
お話をする機会があったからです。
向き合うのが辛いかもしれないけれど、
とても大切なことだなぁと思ったんです。
もしも、あなたの中に、
癒しきれない悲しみがあるのなら、
骨盤呼吸をしながら、感じてみて下さい。
悲しみを豊かな人生の糧に変えるには、
負の感情をプラスに変える
方法を学ぶ必要があるのですが、
骨盤呼吸をするだけでも、
少し気持ちが楽になるでしょう。
サポートが必要だなって思ったら、
ご遠慮なく、ご連絡くださいませ。
あなたが、深い悲しみを愛に変え、
より幸せな日々を過ごされますように。
そして、いつか私たちが
この世を去った時、
残された愛する人たちが、
悲しみから立ち上がり、
より幸せになれますように。
▼人間関係が “ふっ” と軽くなる呼吸の仕方▼
\ その場しのぎではなく、潜在意識が根こそぎ変わる /